ただ私は歌うことしかできなかった
自分が母親でなかったら感じるものが違っていたかもしれません。
ちょっと切なくでも少し嬉しかったので
シェアさせてください。
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毎週水曜日午後は英語で会話ができる親子グループへ参加しています。
ママさん同士気軽に話をしたり、子供たちも英語に触れる良い機会。ましてやドイツ語では自分の言いたいことがうまく言えない私としては息抜きの場。
今回は英語の歌を歌ったりと楽しいひと時を過ごしました。
で、その帰り、目の前にお母さんと子供2人が歩いていました。上の女の子(おそらく5~6歳くらい)はワーワー泣いていて、下の男の子(3~4歳)は三輪車のようなものにふらふらしながら乗っていました。お母さんは上の子の自転車を手で抱え、自分のバッグを肩から掛け、見るからに大変そう。後ろからその様子を見ていた私は「二人の子供を同時に育ってるってホント大変だなぁ~お母さんがんばれ!」と心の中で応援しながらぼんやり眺めていました。
駅からトラム(路面電車)に乗ろうとしたき、たまたま同じ乗車口だった私たち。
車両の先頭部分はベビーカーを置くスペースがあったり、小さい子供やお年寄りの方たちが座れるいわゆる優先席部分。
そのお母さんは二人の子供を座らせ、自分で2台の自転車を両手で抱え、長女が泣き止んだのを見てほっとしたところ。
私はその真横に立っていました。
そこへ
50代くらいの大きな女性が足を重そうに動かしながら入ってきました。
というか入ってくると同時にそのお母さんや子供たちに対して大声で何か叫び始めたのです。
もちろんドイツ語だったけど、杖で子供たちをさしながら「あななたちどきなさいよ!子供なんか座らせてあなたどうかしてるわよ!私は大変なんだから早く席を譲りなさいよ!」的なことを言っているようでした。
突然すぎて親子も私も他の乗客も最初は目を丸くしてびっくりしました。
そのあとすぐ、トラムが出発。
同時にその女性はバランスを崩し、
「ぎゃあ~ぎゃぁ~うぁぁーうぁぁーうぁあああー#$%&」ととにかく社内中に響き渡るように叫び、後ろの席へ転がり座りました。
さぁ、そこからです。
その女性は顔を真っ赤にしてそのお母さんに大反撃。
「だから言ったでしょ!早くその子たちをどかしなさいよ!私がすわるのよ!」的な。
お母さんも
「こ、こ、こっちは小さい子供がいるのよ!」と怒りくるって震えながら大反撃。
座っていた二人の子供たちも怖くなったのかギャーギャー大泣き。
そのお母さん、私のほうを何度も何度もみて何かを訴えようとしていた。
「あなたもそう思うわよね?おかしいわよね?」とでも言っているかのように。
二人の会話(かなり大声で叫ぶ二人)はなんとなくわかったものの、ただそれを見てるだけしかできなかった私。(息子は遊び疲れてベビーカーでグーグー寝ていました。ホッ)
次の駅までの間、ずっと二人が大声で言い合っていた。
いつもより長く感じた。
お母さんが子供たちに「こっちへきなさい!」と抱き寄せ、その女性はさっさと優先席へ座った。
「早く移動させればよかったのよ!」的なことをまだ言っていた。
お母さんはまだ手が震えていた。
まだ反撃していた。
そして「おかしいわよね!」って言っているかのように私の目を見た。
子供たちと自転車2台とバッグを抱え込みながら。
子供たちはまだ怖くて泣きじゃくっていた。
そこで私がしたこと。
"The wheels on the bus go round and round
Round and round
Round and round
The wheels on the bus go round and round
All through the town♪"
さっき歌ってきた歌を2人の子供たちの耳元で歌った。
背中を優しくポンポンたたきながら歌った。
下の子が泣き止んだ。
だから私は歌い続けた。
”The horn on the bus goes beep, beep, beep
Beep, beep, beep
Beep, beep, beep
The horn on the bus goes beep, beep, beep
All…♪"
今度は上の子が泣き止んだ。
というか「この変なアジア人の女性は誰なんだ」とでも思ったかもしれない。
子供たちは大人たちのケンカの声から
私の歌へ興味を持った。
さらに私は得意の猫の鳴きまねを入れてみた。
"Meow Meow~"
少し笑った。
"Meow Meow~"
笑った。
笑ってくれた。
後ろではまだ口論が続いていた。
完全に怪しいアジア人な私。
でも構わなかった。
お母さんはそんな私をみて
「ありがとう、ありがとう」って
涙声で言っていた。
私はお母さんに対し
笑顔でうなずきながら歌い続けた。
ようやく駅に着いた。
親子三人は降りた。
なんとあの女性も降りた。
車内はしーんと静まり返っていた。
車掌室から顔を覗かせた駅員さん。
"Alles gut?"(大丈夫?問題ない?)と。。。
おいおい、さっきの一部始終わからなかったのか?と思ったけど
"Ja, alles gut"(はい、問題ないですよ)としか言えない私。。。
あの一区間は1分もなかった。
女性の態度大人たちの口論が子供たちを怖がらせていたこと。
心が切なくなってしまう出来事だった。
ただ思うのは、あの子供たちやお母さんのために少しでも何かできたことが嬉しかった。
"The Wheels on the bus"の曲を歌うたびにこのことを思い出すだろうな~。
読んでくれてありがとうございました。
By M
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